2018年6月15日金曜日

遺産相続 8

2013年6月下旬に父親が二度目の出血性脳梗塞で倒れた翌日、私は高知に帰省した。そして数日間、高知に滞在した。高知滞在中の6月30日に私は姉の家を訪れて姉の家の庭で短時間雑談を交わした。別れ際に私が自分の財布の中を覗き数千円しか入っていないのを見た姉は、私に金を貸そうかと言ってくれた。その翌々日には東京に戻る予定であったし高知滞在中はもう多額の金を必要とすることはあるまいと思った私は、姉から金を借りようかどうしようかと一瞬迷った。しかし、当時、高知にはATMが少なかった。それに私は高知市内の地理にも不案内であった。もし高知滞在中に金を引き出さなければならなくなったら時間がかかるかもしれない。そう考えた私は、姉に金を借りておくことにした。姉は家の中に戻り、再び庭に出てきて私に3万円手渡してくれた。姉は、いつ返してくれとも言わなかった。私は次に帰省する際にその金を姉に返すつもりであった。

ところが、何度も述べたように、その翌日の7月1日つまり私が東京に戻る日の前日、私は姉と姉の長女から母親との絶縁を告げられた。そのため、2週間後、再度高知に帰省した際には、姉に会わないまま東京に戻った。そしてその晩、姉に電話をかけた。父親が死んだ後、父親が所有する不動産を相続したいと思っているかどうかを姉に確認するためであった。田舎では山林や田畑を欲しがる人はもういない。父親が所有している山林や田畑などは誰が相続しても手に余るものであった。もし姉が相続を希望しないのであれば、父親が生きているうちに可能な限り不動産を処分しておかなければならない。東京に住む私とて、高知県内のどこにあるのかもわからない田畑や山林を相続することはできない。不動産を処分するとすれば、両親の介護のために私が度々高知に帰る時期しかなかった。

姉は不動産は要らないと答えた。私は、私が出来る限り不動産を処分するが残ってしまうかもしれないと言った。そして父親が亡くなったときにもし不動産が残っていたならば、姉と私が半分ずつ相続しようと提案した。しかし姉は、不動産は要らないの一点張りであった。母親は身体が不自由だから母親には山林や田畑は相続させられないではないかと私は声を荒立てた。すると姉は、「要らんものは要らん」と言って一方的に電話を切った。姉から借りた3万円のことは話せなかった。

その晩、姉は自分の長女に電話をするとともに、なんとその深夜(正確には、7月16日の午前1時過ぎ)にひとりの従姉に電話をかけて散々私をなじったという。姉がそんな深夜、従姉に電話したことはその数日後に従姉本人から聞かされた。「不動産はやるが銭は一銭もやらん」と私が言ったといって姉は憤慨していたという。その何日か後で再びその従姉と電話で話したときには、「幸伸は金を3万円取って行って返さん!」と言って姉が憤慨していると告げられた。どちらも心外であった。

7月中旬といえばまだ父親が倒れてから2週間余りしか経過していなかった。父親の病状がどうなるかはまだわからなかった。その時点では、父親は数十年以上生き続ける可能性もあった。父親の財産がどれほどあるのかもわからなかった。当然、父親の財産は父親の病気の治療に優先的に使うべきである。父親が倒れてまだ2週間あまりしか経っていない7月中旬の時点で、どうして私が父親の現金や預金の遺産分配について姉と話すことができよう。

私が姉から借りた3万円についても然り。私は姉の金を「取っていった」わけではない。高知に滞在中、少しでも多くの時間を両親の介護に費やしたいと思って姉の厚意に甘えただけである。私は、借りた3万円をそのまま姉に返すつもりはなかった。その頃はまだ、私はまさか本当に姉と姉の家族が私の両親と本当に絶縁するつもりだとは思ってはおらず、両親の介護に際して細々とした雑費も必要になるであろうからと考え、姉に少し多めに金を渡すつもりをしていた。

私は姉の讒言に腹が立ったが、現金書留で10万円姉に送った。しかし姉からは何の連絡もなかった。

三度目であったか四度目であったか記憶が定かでないが、私が再度高知に帰ったとき、姉から両親に送られてきていた絶縁状を母親から見せられた。その絶縁状には、姉が私に貸した3万円を返却してもらいたいということも書かれていた。その絶縁状が正確にいつ両親に送られてきたのかは知らなかったが、手紙の文面からは私が姉に10万円を送る前に届いたのであろうと推測された。

私が姉に送った10万円に関して何の連絡もよこさなかった理由は私が怖かったからであると、後に姉の長女は述べた。その言葉を聞いて、姉と姉の長女は私によほど負い目を感じていたのであろうとしか私には思えなかった。それまでの自分たちの言動が非常識だったことに気づいていたのであろう。そうでなければ私を恐れる理由などない。姉の長女は、私が姉に送った現金封筒に手紙が添えられていなかったので私が怖かったと述べた。私が送った10万円に対して何の連絡も寄越さないような礼儀知らずにそのようなことを言われる筋合いはない。百歩譲って彼女たちが私を恐れる正当な理由があったとしても、それを理由に何をしても逆に何をしなくても許されるとでも考えているのであろうか。姉ばかりでなく姉の長女も全く社会常識のない女である。

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