2015年4月11日土曜日

ソフトデンチャー

きょうは朝から神奈川県の小田原市にでかけてきた。ある高齢の歯科医師にお会いすることが目的であった。

その歯科医師は昭和7年生まれ。83歳。私が時々訪れる銀座のエステサロンの経営者のお父様である。

この歯科医師は自分自身が日本に導入したソフトデンチャーの技術を後進に伝えようと数年前から後継者を探していた。そのことをその歯科医師のお嬢様であるエステサロンの経営者から聞かされ、ある歯科医師をご紹介したことがきっかけとなって繋がりができた。残念ながら私がご紹介した歯科医師とのご縁は結ばれなかったが、ご家族の皆様からとても感謝された。私に一度会いたいと何度も繰り返しおっしゃられ、本日の訪問となった。

ご自宅の一部が歯科のクリニックとなっていた。私がクリニックに着いたとき、ちょうど午前中の診療が終わった。その歯科医師はソフトデンチャーの実物やその素材の原料、関連する書類などを待合室に持ってきて私に対して熱心にソフトデンチャーについて熱く語った。そして、数年前、小田原中の歯科医院を回り、無償でソフトデンチャーを作製する技術を教えようとしたが、ひとりとしてソフトデンチャーに興味を示してくれなかったと嘆いた。

私はインプラント治療を手がけている歯科医師の知り合いが多い。しかしインプラント治療は危険が大きい。インプラント治療が適さない患者に対してはソフトデンチャーは有力な治療の選択肢ではないかと私は感じた。その歯科医師の説明を聞きながら、若い歯科医師の誰かがその歯科医師からソフトデンチャーの技術を学んでくれないだろうかと強く思うようになった。もし私が歯科医師であったならば、ぜひ教えを乞いたいと思った。

ソフトデンチャーの話が一段落したあと、その歯科医師とお嬢様(エステサロンの経営者)と私の3名で食事に出た。カウンターで寿司をご馳走になりながら、引き続きソフトデンチャーの話を聞いた。日本ではソフトデンチャーを作製できる技工士がいないことも聞かされた。中国の技工所に依頼しているとのことであった。その技工所に1年に3回以上出かけた時期もあったという。「ソフトデンチャー」という名称は商標登録されている。さまざまな書類手続きを進める上での苦労話も聞かせていただいた。

寿司屋を出た後、小田原駅のすぐそばにあるコーヒーショップに連れていってもらい、そこで更に話を続けた。ここでの話題の中心は、今の若い歯科医師に対する嘆きであった。そして今の若い人たちのモラルのなさやマナーの悪さについても語り合った。私も日頃から同じ印象を抱いていたので、その歯科医師の言葉のひとつひとつが胸に響いた。

その歯科医師を一言で表現すれば「堅物」である。私は全く正反対の性格であるので、逆にこのような一本筋の通った正義漢に共感を抱く。

その歯科医師は近日中にソフトデンチャーの見本を私の自宅に送ってくださるという。冒頭で述べたようにその歯科医師は83歳。時間の余裕がないと本人もご家族も感じていらっしゃる。ソフトデンチャーの技術をその歯科医師から学び、日本で普及させようと考える歯科医師はいないものか。

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