2018年7月7日土曜日

服装

私は自分の服装には無頓着である。家内も然り。そのため、これまでに何度か「事件」を起きた。

もう十数年前のことになるが、車を買おうと思い立ってあちこちのディーラーを回ったことがある。品川にあるヤナセに行ったときのこと。ヤナセの営業マンにまず勧められた車はベンツのA180であった。試乗させてもらったが、内装があまりにもお粗末なのに驚かされた。椅子を固定するネジがそのまま露出していたのだ。まるで貨物車であった。ベンツを買おうとする客はおそらく見栄っ張りなのだろうと思い込んでいた私は非常に驚いた。

その店で次に勧められたのはオペルであった。しかし私達が試乗させてもらった車は戦後間もなくつくられたのではないかと思えるような中古車であった。エンジンはブルンブルンと大きな音を立て、車体も大きく振動した。

当日の私たち夫婦の服装があまりにもみすぼらしかったため、ヤナセの営業マンは、私たちには車など買う金などあるはずがないと思ったのであろう。応対も粗雑であった。

その翌週、わたし達はフォルクスワーゲンのビートルに試乗させてもらおうと芝公園に出かけた。その日、試乗会が開かれていたのだ。

わたし達は、担当者に試乗させてもらいたいと頼んだ。すると、その担当者は「買う所で乗ってください」とつれなく言った。私たちの姿を見て、その担当者もヤナセの担当者と同じように感じたのであろう。わたし達はその担当者の勧めに従って芝公園から池袋にバスで移動した。池袋近くのバス停からディーラーに電話すると、ディーラーの担当者が車でバス停まで迎えに来てくれた。そして道すがら、「帰りには池袋駅まで車でお送りします」と言ってくれた。ところが、わたし達が帰ろうとしたとき、その担当者は、そっけなく「すぐそこにバス停があります」と言って出口のドアを開けた。

店を出たわたし達は顔を見合わせて笑った。

みすぼらしい服装をしていると人の本性がよく見える。

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