2012年3月14日水曜日

ホワイトデー

きょうはホワイトデーである。ホワイトデーは1年に1回しかないのでホワイトデーに関する雑感をきょうのうちに綴っておこうと思ったが気分が乗らない。

この年齢に達すると、ホワイトデーというのは義理チョコに対する返礼の日でしかない。決して心が踊る日ではない。むしろ憂鬱である。数年前からは、ホワイトデー用のチョコレートは家内に頼んで買ってきてもらっている。私の自宅の近くに芥川製菓(株)というチョコレート工場がある。ここでは売れ残ったバレンタインデー用のチョコレートのバーゲンセールを開く。このバーゲンセールのために朝早くから列をつくって並ぶのが、私たちが今の家に引っ越してからずっと家内の楽しみになっている。家内はたくさんのチョコレートが入った大きな袋を両手に抱え、うんうんうなりながらチョコレート工場から帰ってくる。私がホワイトデーにお返しするチョコレートは全て、こうして家内が買ってきた売れ残りなのだ。しかし、それでも私がバレンタインデーにもらうものよりずっと立派なチョコレートである。

バレンタインデーの日、私にチョコをくれたある女性は、「義理チョコ」ではなく日ごろお世話になっていることへの「感謝チョコ」だと言った。確かにそれは彼女の本心だと思ったが、「来年はもうバレンタインデーのチョコはいらないから」と私は彼女に告げた。

ただし、今年はホワイトデーの日に少しだけ気持ちが晴れることがあった。その日、職場の廊下でよく知っている20歳代前半の女性職員にたまたますれ違った。彼女からバレンタインデーにチョコレートをもらっていたわけではなかったが、1箱余っていたのでそれを彼女にあげたところ、彼女はびっくりするとともに屈託のない笑顔を見せて喜んでくれた。残り物のチョコレートをもらっただけなのにそんなに嬉しいものなのだろうか。私は不思議に思った。しかし彼女は心から喜んでくれているように見えた。私はホワイトデーというものに対する割り切れぬ思いに心が暗くなっていたが、彼女のその爽やかな笑顔に心が洗われた。

バレンタインデーとホワイトデーのチョコレートの交換は、未婚の若い男女の間だけの楽しみでいいのではないだろうか。バレンタインデーやホワイトデーに微笑みを交わしながら若いカップルが食事をしている姿を見るだけで私は十分幸せである。

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