2019年1月11日金曜日

WASHINTON HOTEL

昨日の午後、神田に出かけた。その帰り道、秋葉原に立ち寄った。駅の中央改札口を出て右を見ると、白い大きなビルディングが目に入った。その建物を仰ぎ見ると、「WASHINTON HOTEL」と書かれていた。私が家内の実家に住んでいた頃、この建物の外壁は焦げ茶色の煉瓦で覆われていた。真っ白く生まれ変わったビルディングからは当時の野暮ったさが消えていた。

私は留学から戻った後、数年間、家内の実家に住まわせてもらっていた。この時期に私の両親が東京に出かけてきた際には、必ずこのホテルに宿泊した。家内の実家は、秋葉原から歩いて10分ほどのところである。WASHINTON HOTELからも近かった。

私の長男が生まれた際にも、上京してきた両親はWASHINTON HOTELに宿泊した。息子が生まれた翌日の晩、つまり私の両親が上京してきた日の晩には家内の両親がホテルを訪ねてきてくれた。そしてホテルのレストランで会食した。会食中、父親は実に嬉しそうであった。母親も嬉しかったに違いないが、昔から母親はどんなときでも感情をあまり表情に出さなかった。このときもそうであった。話題は長男の名前。生まれたばかりの長男の名前を何にするかということで話が盛り上があった。既に長男が生まれる前に、私の家内は名前をふたつに絞っていた。そして最終的に選んだ名前にすることをほぼ決心していた。しかし私の父親は、もう一方の名前の方がいいと言った。多分、その名前の方が発音しやすかったからだろうと思う。家内がその名前を選ばなかったのは、その名前には「征」という感じが含まれていたからであった。「征」は「出征」を連想させるから嫌だと家内は言った。

この会食の際の写真が今も残っている。両親にとって最も幸せなひとときであったと思う。

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