2007年5月13日日曜日

グミ


グミのことを私の郷里では「しゃしゃぶ」とよぶ。私が高校を卒業する頃まで実家の庭先にグミの木が植えられていた。毎年、梅雨が明けた頃に真っ赤な実をつける。少し渋味はあったが、甘くて美味しかった。

私が高校を卒業し東京に出てきてからも夏が来るとしゃしゃぶのことをよく思い出した。しかしつい数年前まで東京でしゃしゃぶを見ることはなかった。何度か「しゃしゃぶを食べたい」と人に話したことはあったが、だれもしゃしゃぶを知る人はなかった。

私が東京でしゃしゃぶを見つけたのは偶然のことであった。職場の敷地のなかにある花屋さんで真っ赤な実をつけた鉢植えのしゃしゃぶが売られているのを通りすがりに見つけたのだ。その鉢には「グミ」という札がつけられていた。そのとき初めて、しゃしゃぶのことを東京ではグミとよぶことを知った。

しかしそのときは買いそびれた。その鉢植えのしゃしゃぶの木はいつの間にか店頭から消えてしまっていた。1年待って昨年の夏、やっと鉢植えのしゃしゃぶの木を手に入れた。そして自宅の庭に植え替えた。

一昨日の朝、出勤する際に、そのしゃしゃぶの木が3個の実をつけているのを見つけた。まだ青く、注意して見ないと見逃してしまう。しかしあと1か月もすればこれらの実は赤く熟し、私の目を楽しませてくれるに違いない。


0 件のコメント: