2018年6月12日火曜日

遺産相続 5

姉と姉の長女が私の母親と一方的に縁を切った理由は、私の母親が私の方に多目に遺産を残したいと言ったことが理由であったことはすでに書いた。姉の長女(つまり私の姪)から絶縁の理由を聞かされたとき、私は驚いた。私は遺産相続については母親ばかりでなく他の誰とも話したことがなかったからだ。しかし母親の考えは理解できた。

姉には4人の子がいるが、彼らは私の両親からの援助もあって既に全員が大学を卒業し社会人になっていた。4人の子のうち上のふたりは既に結婚して子もいた。その一方で、私の一人息子はまだ中学生であった。両親が亡くなれば、長男である私が実家の建物ばかりでなく田畑や山林の始末もしなくてはならない。田舎の田畑や山林は誰も欲しがらない。タダでも受け取らない。加えて我が家の墓も移す必要があった。両親が死んだ後、私は多額の金が必要になる。姉よりも私に遺産を多目に残すことによって両親の死後の整理を私に頼もうというのが母親の意図したことであろうと私は考えた。

私はその推測を姪に告げた。そうしたところ、姪はいきなり「外孫と内孫を差別することは許さん!」と怒り出した。私は呆れた。私の両親から姉の子たちはどれほど多額の援助を受けてきたのかを忘れたのであろうか。これに対して、当時はまだ中学生であった私の息子には何もしてやれないまま両親は死んでいく。どれほど父親も母親も気がかりだったことだろう。

私は姪に対して次のように言った。「お前ら4人はおじいちゃんとおばあちゃんのお蔭で大学も出て社会人になった。それに引き換え、私の息子は中学生だ。まだおじいちゃんとおばあちゃんには何もしてもらっていない。そのことだけでもおばあちゃんが私に多目に遺産を残したいと言ったとしても当たり前のことじゃないかえ。」

しかし、姪は、「外孫と内孫を差別することは許さん!」と繰り返すだけであった。怒りがこみ上げてきた私は続けて次のように言った。

「じゃあ、私の一人息子が百万円もらったらお前たちは四百万円もらわないと納得しないということかえ?」

この私の問いかけに姪は返事をしなかった。

最近、このときの姪との会話について家内と話した。外孫である姪たちがあれほどまで多額の援助を受けたのだから内孫である私の息子は更に多額の援助を私の両親から受けてきたに違いないと邪推していたのではないかというのが私の家内の考えであった。そうだったのかもしれない。

金に執着する者は哀れである。金の奴隷でしかない。

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