2018年6月18日月曜日

甥 2

父親は私の姉の長男のために保険に加入していた。姉の長男が病気になったり怪我をした際に保険金が姉の長男に支払われるという保険であった。その保険は期限付であった。父親の死後、数ヶ月ほど後に満期を迎えていた。

家庭裁判所の審判によって、その保険の掛金を私が相続することになった。そのため、その掛金を受け取る手続きを行うために郵便局に出向いた。書類に必要事項を記載、捺印して、窓口の近くで長時間待った。やっと私の名が呼ばれた。私が立って窓口に行くと、申し訳なさそうに郵便局の担当者が話し始めた。その担当者は、保険は既に満期を迎えているので掛金は私の口座には振り込まれず、被保険者である姉の長男の口座に振り込まれると言った。私は驚いた。父親は他にも保険をかけていた。私の家内そして私の息子が被保険者となっている保険であった。これらも既に満期を迎えていた。何ということであろう。裁判官も弁護士もそして税理士もそのことを見落としていたのだ。

しかし私は単にこのことを悲しんだわけではなかった。息子はまだ大学生である。卒業するまでに多額のお金を必要とする。息子の生活費やクラブ活動費は息子が受け取る保険の掛金から一部出してもらえばいい。家内も何らかの方法で受け取る保険の掛金を私に返すと言ってくれている。

問題は姉の長男が受け取る保険の掛金であるが、その分の金は姉から返却してもらうつもりである。さすがの姉も、そのことには同意するであろう。姉が同意すれば、姉が受け取ることになっている父親の遺産の一部が姉の長男に直接渡ることになる。いいことである。姉は実家から受け取った援助をひた隠しに隠してきた。姉の長男のために私の父親が支払った掛金が姉の長男に直接入れば、姉の長男は私の父親すなわち彼の祖父の愛情を感じることができるであろう。

「外孫と内孫を区別することは許さん!」と私に怒鳴りかかってきた姉の長女の顔を見てみたいものである。

問題は、私の相続税が過払いになってしまうことだけである。

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