私は中学校、高校、大学と12年間、日本育英会(現在の独立行政法人日本学生支援機構)の奨学金を受けた。その奨学金を大学卒業後10年ほどかけて全額返還した。当然、自力で返還し、両親の援助は受けなかった。ところが、父親の死後、遺産相続の調停中、姉がとっぴもないことを言い出した。その奨学金を自分で返還した証明をしろと。私は目が点になった。自分が受けた奨学金の返還を両親に頼るなどといったことは頭の片隅にもなかった。そんなことを証明しろといった要求が姉から出されたことに驚いた。私は証拠を出そうと手を尽くした。古い預金通帳を引っ張り出したり日本育英会に電話したりと、八方手を尽くした。しかし、私はこれまで何度も引っ越しを繰り返した。留学もした。転居のたびに不要な書類は処分した。25年以上前の振込の記録が残っているはずがない。日本育英会にも電話で問い合わせたが、返還が完了したならば5年後に全ての関連書類を破棄すると言われた。
姉は狂っている。私がこのことを話した知人は口を揃えて次のように言った。「お姉さんなら自分が受けた奨学金を親に返還させただろうから、きっと幸伸君もそうしたのではないかと思ったのではない?」
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