2019年1月3日木曜日

従姉からの手紙

年末年始の休みを利用して家の中を片づけている。今朝、リビングで片づけものをしていた最中に、埃をかぶった封筒を見つけた。手に取って差出人を確かめたところ、ある従姉であった。投函日は平成24年7月2日となっていた。平成24年というと2012年である。父親が倒れたのが2013年6月。父親が倒れる1年前の手紙であった。
 
この封筒は開封されていた。だからきっと私はこの手紙を読んだにちがいない。しかしこの手紙をもらったという記憶は残っていない。しかし、さきほどこの手紙を読んで父親が倒れた頃の人間関係の一部が理解できた。
 
父親が倒れる数カ月前であったであろうか、正確な時期を忘れたが、姉と電話で話していたとき、姉がこの従姉のことを話し始めた。従姉とたびたび電話で話していたが、従姉から金を無心されるのでいやになって縁遠くなったと姉は言った。姉のこの言葉を私は聞き流していた。
 
なんと手紙にはそのことに関連することが書かれていた。この従姉の実家を修繕する費用を私の両親に無心してくるので困ると私の母親がこの従姉の姉に電話したという内容であった。ただ、手紙の文章は十分推敲がなされておらず、正確な事実の把握はできないが。
 
「・・・とんでもない、心にもない事を(私の母親から)言われてびっくりしてます。おばちゃん(私の母親)が姉にTELして、私が実家を直すのにお金を出してくれと言ってると。そんな事、言ってもないのに。ショックです。」
 
手紙には上のように書かれている(一部、改変)。
 
この従姉が直接私の母親に金を無心したことはないであろう。この従姉が金を無心しているということは、私の姉が私の母親に話したのではなかろうか。私の姉からこのことを聞かされた私の母親がこの従姉の姉に電話をかけたのかもしれない。
 
この従姉と電話で話した際に、この従姉は私に次のような話を繰り返した。「実家を修繕したやりたいが300万円ほどかかる。金がない」という話であった。私の姉もこの従姉に同じ話を繰り返し聞かされたと、姉から私は直接聞かされていた。姉がこの従姉に電話をかけなくなった理由は、この話を繰り返ししてくるからだと姉は私に言った。
 
「実家を修繕したやりたいが300万円ほどかかる。金がない」という発言は直接金を無心する発言ではない。私もこの言葉を従姉から直接繰り返し聞かされたが、聞き流した。何事にも過敏に反応する姉は、従姉のこの発言は金の無心であると判断したのであろう。
 
ただ、この従姉は、自分の父親(私の伯父)に対して私の父親が私の祖父の遺産を正当に分与していないと考えていたことは確かである。このことは彼女から私が直接言われた。これは心外であった。父親が元気であった頃、父親自身から、父親の兄弟間の遺産相続はきちんと片づけているので私は心配するなと言われていた。私の父親の姉(故人)の子つまり私の従兄も、兄弟間の遺産相続問題は決着したと私に告げた。彼の母親は嫁いだ身であるので祖父の遺産は一切相続しなかったという。父親の兄である私の伯父(つまり問題になっている従姉の父親)に対しては、私の父親の名義になっていた山林を贈与した。しかし伯父は山林ではなく現金が欲しいと言ったため、遺産相続を放棄した伯母が現金でその山林を買い取ったという。従兄に聞いたところでは、その金額は500万円であった。私の父親はその山林を贈与したばかりでなく、伯父に対してたびたび金を貸したり贈与した。
 
私が幼い頃、わが家には猫の額ほどの田畑しかなかった。山林は全くなかった。当然、現金など家には一銭もなかった。日々の生活費を賄うために、母親は毎晩、夜なべをして筵を編んだ。そしてその筵を売って日々の食費に充てた。親と親の姉兄の間で決着した問題を、当事者でない私に何を言われようと私は対応のしようはない。
 
この従兄弟が修繕したがっていた家は今、空き家となっている。高知に帰省した際に、私はたびたびこの家の前を車で走る。この家をすぎる度に幼い頃の思い出が次々と頭をよぎる。

0 件のコメント: