10年以上前のことになるかもしれない。私の姉の次女、つまり私の姪が、突然私の自宅を訪ねてきた。勤めていた白木屋を辞めて転職したため、引っ越さなければならなくなった。新たに家を借りるにあたって保証人が必要である。私に保証人になってもらえないかということであった。
どんな些細なことであっても保証人になることは大変である。姪が家賃を払わないというようなことは心配しなかった。私が心配したのは、もし姪が火事でも起こすようなことがあったならば大変なことになるということであった。
私は、両親に保証人になってもらえないかと姪に尋ねた。姪は、転職したことも引っ越すことも両親には話していない。私からも離さないでもらいたいと言った。当然、私に保証人になってくれと頼んだことも口外しないでもらいたいと姪は言った。
親子の間に何かがあったのであろうと私は推測したが、全くそのことについては姪に訊かなかった。私の家内は私が保証人になることに反対であったが、しばらく考えた上で私は保証人を引き受けることとした。そしてその場で不動産の契約書に捺印した。
しかし姪からはその後、なんの音沙汰もなかった。
ところが、それから2年ほどして、突然、姉と私の母親から激しい口調で電話がかかってきた。姪の保証人になったことを何故親である私の姉に離さなかったのかと2人は激怒していた。私には全く意味がわからなかった。私が保証人を引き受けた当時、既に成人になっていた姪から、両親には話さないでもらいたいと言われていたから私は話さなかっただけである。私が保証人を引き受けたことに感謝されこそすれ、私が姪の母親である私の姉からも、姪の祖母にあたる私の母親からも非難される理由は何一つない。
ふたりからは約2週間にわたって繰り返し私に電話がかかってきた。私の母親は「なぜ保証人になったことをお姉ちゃんに話さなかったのか」と言って私を叱りつけた。私は「成人になっている姪から、口外しないでもらいたいと強く依頼されたことをどうして話さなければならないのか」と反発した。しかし、母親は何一つ理由を言わなかった。
私は事情を姪本人から聞こうとして姪に電話をかけた。しかし姪は私からの電話をとるやいなや一方的に切った。そしてその後は、私が姪に電話をかけても反応がなかった。
しばらくして、姪から手紙が届いた。その手紙には、私の姉がいかにひどい母親であるかということが綴られていた。そして私の姉は他人の悪口しか言ったことがないとも書かれていた。まさにそのとおりであった。私の姉は生まれてこの方、私が知るかぎり、一度しか人を褒めたことがない。
皮肉なことに、この姪は、私と私の姉との間で裁判が持ち上がった際に、いかに姪が母親である私の姉を尊敬し慕っているのかという証言を裁判所に提出してきた。
姉も姉の家族も、例外なく全員が、このレベルである。
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