2015年8月22日土曜日

「悲しみを抱きしめて 御巣鷹・日航機事故の30年」 西村匡史 講談社新書

昨夜、偶然、この本を書店で見つけた。そして、一気に最後まで読み終えた。読み進める途中、何度も涙がこぼれてきた。しかし私の涙は日航機事故で亡くなった犠牲者たちに対するものというより、むしろ残された家族や関係者に対するものであった。

特に、三人のお嬢さんを事故で亡くした田淵夫妻について書かれている第1章と第2章には心を打たれた。事故前には全くアルコールを口にしなかった母親の輝子さんは、事故後25年間、アルコールが手放せなかったという。

この本を書店で見つけた直前の8月15日に、偶然、私たちは田淵夫妻が亡くした三姉妹の墓標にお参りしていた。この本に載せられている3人の写真が墓標に飾られていた。

事故から30年経った今も遺族が苦しみ続けているのはなぜかと私は考えた。若くして命をなくした犠牲者が多かったからなのか。それとも病気ではなく予期せぬ事故で亡くなったからなのか。あるいは、事故は防げたはずだという思いが今も遺族の心に強く残っているからか。遺族にすら今も自分たちを苦しめているものが何であるのかがはっきりとはわからないかもしれない。

ただし、上野村の皆様や、その他、大勢の皆様の励ましが遺族の方々の心の支えになったということは確かだと思う。本書では、遺族の悲しみを綴ったばかりでなく、事故以来ずっと遺族を支え続けてきた上野村の方々や関係者の皆様の心の温かさも生き生きと描かれている。

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