東北関東大震災は天災なのであろうか、人災なのであろうか。人々が落ち着きを取り戻せば、きっと「今回の震災は人災である」という声が出てくるだろうと思う。特に東京電力は指弾されることであろう。何者かをスケープゴートにしなければ気が済まない輩が世の中には必ずいるものだ。
しかし、生きることは危険と向かい合うことだ。私たちは常に死と向かいあいながら生きている。人類は自然というお釈迦様の手のひらの中で踊らされているにすぎないのではなかろうか。そもそも、これまで人類が築いてきた文明など自然の前には全く無力なのだ。今回の騒ぎが一段落したならば、いろいろな反省点が見つかるであろう。ただ、私は、どのように我々が知恵を働かせ努力しようとも、この種の犠牲者は今後もなくならないだろうと思う。原発をなくせば被害がなくなるという単純なものではないであろう。水力発電に頼ればダムの決壊を恐れなくてはならなくなる。
下に掲載したのは昨日いただいたメールの続きである。私の方で文章の一部を削除するとともに手直しした。
被災地の検死会場は修羅場でした。感情を殺して作業しました。昨日の朝、帰宅しましたが、軽いPTSD状態になり眠れず、お酒を飲みながら涙を流しました。しかし夜、家族と食事をしたあと一晩ぐっすり眠ると気持ちが落ち着いてきました。
東京はガソリン不足になっていますが、被災地と対比するとなんと静かで平和なんだろうと感じます。被災地の人々のことを思うと心が痛みます。
歯科医師会や日本歯科医学会がボランティアを募っていますが、現地にでかけるちことには危険を伴います。また大挙して押しかけても地元にはそのアテンドをする余裕もありません。
私は、身元確認作業には自己完結で行動できる自衛隊の歯科医官を投入すべきだと考え、懇意にしている陸上自衛隊のある歯科医官と月曜日に相談したうえで歯科医師仲間にも相談しましたが、その提案は受け入れられませんでした。
たまたま防衛政務官の神風衆議院議員が知り合いでしたので、自衛隊の歯科医官を投入するようお願いをしました。神風防衛政務官は動いてくださり、金曜日に防衛省内局より陸海空の3軍の歯科医官に命令が下されました。そして、約300名の歯科医官が身元確認作業に従事することになりました。宮城県警と陸上自衛隊の間では宮城県歯科医師会の江澤先生がご尽力して災害時の協力体制はできていますが、現在の自衛隊はシビリアンコントロールですから、防衛省内局の指示がなければ部隊を動かせません。21日に第1陣が出動します。これで、多くの歯科医の危険を回避し、また、地元の歯科医師会の先生方の手を煩わせることもなくなったと思っています。
今は計画停電や患者さんの受診抑制もあり、火曜日からは町医者としての戦いをしなければなりません。先生のおっしゃるように日本人は高潔な民族であり、力をあわせて苦境から立ち直る力を持った国民であると思っています。
0 件のコメント:
コメントを投稿