いつからかはっきり記憶にないが、私はほとんどテレビを観なくなった。たまに観るのはNHKの将棋トーナメントぐらいである。ニュースも観ない。私だけでなく家内も息子もほとんどテレビを観ない。家内が観るのは水曜日の夜に放映している「刑事コロンボ」のみ。息子に至っては、今年に入ってテレビを観ている姿が記憶にない。
ただ、私は、夜の散歩の最中によくYouTubeを観る。YouTubeで音楽を聴くこともある。クラシックか懐メロ。
昔は、流行した歌を聴くとその当時の思い出が蘇ってくることが多かった。ひとつひとつの歌が私の人生と結びついていた。しかし最近はYouTubeで懐メロを聴いても、それらの曲が流行った当時の出来事が全く頭に浮かばなくなった。歳である。
今、どのような局が流行っているのか全く知らない。また、今流行っている曲を聴いても歌詞はよく聞き取れない。
ただ、私がYouTubeで聴く懐メロは、恋を題材にしたものが多い。きっと今もそうなのではないだろうか。
恋は情熱である。自己陶酔である。今、熱い恋愛の真っ最中の若者は、現在の流行歌を聴くたびに胸が高鳴ることであろう。恋愛とは自分が描いた異性のイメージに盲目的に酔うことなのだと思う。陶酔。そう、恋愛は文字どおり陶酔である。
「秘め事」という言葉が死語となった今、若者は異性に陶酔しにくくなった。SNSも陶酔の妨げとなる。饒舌は情熱を殺す。他人にはバカなこととしか思えなくとも、人生の一時期において、理性を失うような陶酔に浸らなかったならば不幸ではないだろうか。
今の私は、恋愛を「自己が作り上げた異性のイメージへの陶酔」つまり独り相撲としか考えられない。懐メロを聴くたびに自分が年老いたことをひしひしと感じる。
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